【Your smile makes me cry】
▼ジェイド×ルーク
突然、ジェイドはルークに抱きしめられた。
ぎゅうっと、その細い腕に込められた力は強く、身動きが取れない。
ルークは、ジェイドの胸に顔をうずめており、その表情はジェイドからは伺えない。
だが、その身体はかすかに震えているようだった。
お互い身じろぎもせず、そのままの体勢でしばらくが過ぎる。
「……ルーク?」
泣いているのかと、思った。
だから、ことさら優しい声で呼びかけた。
「ルーク、どうしました?」
そして、優しい手つきで頭を撫でる。
すると、ようやくルークは顔を上げた。
――そこに、涙はなかった。
「――なんでもない! ちょっと甘えてみただけ!」
そしてこの子供は、明るい笑顔で――まるで、悩みなんてひとつもないような曇りない笑顔で、そう言うのだ。
そのたびにジェイドは、遣る瀬無さで一杯になる。
きっとルークは、最期の時まで笑っているのだろうと、確信していたから。
Your smile makes me cry
(助けてと、たったひとこと言ってくれれば、今すぐに君を連れて逃げるのに)
2011.12.07(Wed)