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2011.12.06 サイト開設
【狂える愛01】

▼ガイ×ルーク

*アクゼリュス崩壊後のユリアシティ。
*ガイとルークはナチュラルにパーティ内公認の恋人同士です。
*アッシュはルークの意識を一緒に連れて行きませんでした。
*ルークが病んでます。壊れてます。酷い子になってます。



 気付いたら、目の前にガイが立っていた。
 いつものように、優しい笑顔で「ルーク」と呼んでいる。
 ガイ、とルークは嬉しそうに言って、大好きな己の恋人へと歩み寄った。

「ルーク」

 再び、優しい声で名を呼ばれる。
 ルークは幸せな気持ちで一杯になった。この時間が、永遠に続けばいいとすら思う。
 だが――


「……ルーク、あまり幻滅させないでくれ」


 突然、場面が切り替わった。
 先程までルークのことを愛おしそうに見つめていたガイの表情は、今は嫌悪感に歪んでいる。

「ガ、イ……?」

 あまりのショックに呆然とするルークを、ガイはまるで汚いものでも見るかのような目で一瞥し、そして背を向けて離れていく。

「ガイ! ガイ!」

 遠ざかる背に、ルークは必死に呼びかけた。行かないで、待って、置いていかないで。
 けれど、彼の冷たい後姿は、ついに立ち止まることはなかった。



cruel love



「ッ!!」

 ガバッと、ルークは跳ね起きた。
 動悸が激しい。身体は汗でぐっしょりと湿っている。まるで、今まで全速力で走っていたかのようだ。

「――ご主人様! 気がついたですの?」

 すぐ横から声がして、視線を移せばミュウが心配そうな顔でルークのことを見上げていた。

「ブタザル……ここ、は……?」

 言いながら、ルークは室内を見回す。見知らぬ部屋のベッドの上に、ルークはいた。

「ご主人様、倒れてしまわれましたの。ここはユリアシティのティアさんのお部屋ですの」

 そうだ――ルークはようやくこうなった経緯を思い出した。
 ユリアシティに着いてすぐ、アッシュが来たのだ。そしてルークのことを、レプリカと呼んだ。その事実があまりにも受け入れがたくて、気付けばアッシュと剣を交えていた。結果は、自分の敗北だ。そこでルークの記憶は途切れている。
 自分が――アッシュの代替品。いまだに信じられなかった。信じたくなかった。けれど、尊敬する師にすら、レプリカと呼ばれたのを覚えている。裏切られたとはいえ――いや、裏切られたからこそ、彼の言は正しいのだ。

「――……ガイ、は?」

 見当たらない恋人の所在を、たった一人自分の側にいたミュウに訊ねる。
 無性に、ガイに会いたくなった。あの優しい顔で微笑んで欲しい。ぎゅっと、抱きしめて欲しい。大丈夫だと、言って欲しい。それだけできっと、自分はもう平気になるだろう。
 けれど、夢にも出てきたあの時の嫌悪に染まった顔が、どうしてもチラつく。

(――大丈夫、きっと俺の考えすぎだ。だって、ガイが俺を見捨てるはず、ない)

 好きだと告白してきたのは、ガイからだった。
 その頃、既にガイのことが好きだったルークは、彼の気持ちがとても嬉しかった。
 けれど、ルークは終わりを恐れるあまり、一度は拒絶してしまったのだ。ひとたび幸福を知ってしまえば、それが崩れ去った時に自分は立ち直れないことを、分かっていたから。ならばいっそのこと、最初から始めなければ良いと、そう思った。
 そう告げたルークに、ガイは慈しむような笑みを浮かべた。そして、約束してくれたのだ。終わりなど来ないのだと、自分はずっとルークの側にいると――決して離れないと。
 そんな風に言われてしまえば、もはやルークに大好きなガイを拒絶できるはずもなかった。そうして、二人の関係は始まった。
 だからこそ、あの夢のようにガイが自分を置き去りにすることなどないと、ルークは心の底から信じていた。
 ――信じていたのだ。

「ガイさんなら、みなさんと一緒に外殻大地へと向かわれましたの」

(――……え?)

 言われたことの意味を、ルークは一瞬理解できなかった。

 そんな、まさか。ガイが――

「――う、嘘をつくんじゃねえ、このブタザル! ガイが――ガイが俺を置いていく訳ねえだろ!」
「ご主人様……!」
「ッ……やめろ! そんな――そんな目で俺を見るな!」

 悲痛な顔で見上げてくるミュウが、まるでこれは逃れようのない真実なのだと告げているようだった。

「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ……!!!」

 そう自分に言い聞かせるかのようにぶつぶつと呟きながら、ルークは頭を抱えてベッドの上でうずくまる。
 けれど同時に、どうしようもなく理解していた。ミュウが自分に、こんな嘘を言うはずがないということを。
 夢に出てきた――自分を見捨てたガイの顔が、フラッシュバックする。

「ガ、イ――」

 頭の中がグチャグチャだった。混乱しつつも、ルークは無理やり思考を整理しようとする。

(ガイが、俺を見捨てるはずがない――だって約束したんだ。ガイは約束を破るような奴じゃない)

(じゃあどうして、ガイは今、俺の側にいないんだ? 何で、みんなと一緒に行っちまったんだ?)

 ――唐突に、頭の中がすっきりと整理されるような感覚がした。
 色んな色が混ざり合いごちゃごちゃだった一面が、すうっと白く染まって行く。
 残った色は、紅と金。鮮やかな紅色が、ガイの隣に立っている。
 そうだ、あの紅色は、ユリアシティに来ていた。


(――アッシュ、)


 自分の被験者。“本物”の“ルーク・フォン・ファブレ”。つまり、ガイの“本当の幼馴染”。
 ガイが愛しているのは“ルーク”で、アッシュは本物の“ルーク”。
 自分は――ただの偽者の模造品。
 そしてガイは、本物の“ルーク”と一緒に自分の元から去ってしまった。
 決して“ルーク”の側を離れないと、ずっと共にいると約束したガイ。
 ガイは、約束を、破らない――

(……あ、ああ……うそだちがう……ガイは……ガイは――!)

 その瞬間――ルークの中で、何かが壊れる音がした。

「――……そうだ……あいつだ。あいつが、」
「ご主人様……?」

 それまでの狼狽ぶりから一転、身の毛もよだつような静けさで何事かを囁いた主を、心配そうにミュウは見つめる。視線の先――抱えていた頭を上げた主の表情を見て、ミュウは背筋が凍る思いをした。
 主の――ルークの、憎しみに染まった険しい顔が、そこにあった。
 ミュウが動けずにいると、ルークは突然ベッドから立ち上がり、テーブルに置かれていた剣を手に取る。かと思うと、鏡の前まで歩いていき、すらりとその剣を鞘から引き抜いた。

「ご主人様!?」

 一体何をするのかとミュウが心配したのも一瞬、ルークは自身のその緋い髪をわし掴むと、襟足のところでぶつりと切ってしまった。パラパラと、緋い髪が室内に舞い、床に落ちる前に光となって消える。
 呆気に取られたミュウの目の前には、満足そうに暗く笑うルークが居た。

「これでもう、アッシュと間違えることもないだろ?」

 どこか誇らしげに、ルークはミュウに向かって微笑みかけた。
 それは、今まで一度だって向けられたことのない優しい笑みだったが、ミュウにはただ恐怖しか感じられなかった。

「ガイの奴、しょうがねーな。俺とアッシュとを間違えるなんてさ」
「ご主人様……?」
「そうじゃなきゃ、ガイがあんな奴について行く訳ないもんな。一瞬でもガイを疑っちまうなんて、恋人失格だ」

 そう言いながら、ルークはここには居ない恋人を想って、慈愛に満ちた顔で笑っている。
 ミュウは、直感的に解ってしまった。主の何かが、もうどうにもならないほどに壊れてしまったということを。
 剣を鞘に収めたルークは、ベッドの上にいるミュウの元へ来ると、両手でミュウをそっと抱き上げた。

「ミュウ、外殻大地へ行こう。ガイを追いかけなきゃ」
「……はいですの」

 初めて名前で呼んでくれた嬉しさよりも、優しく接してくれる喜びよりも、以前のようにブタザルとぞんざいに扱われていた頃に戻りたいという思いが、ミュウの中にはあった。
 けれど、たとえどれほど主が壊れてしまおうとも、自分は彼について行くのだと――決意なんて、とっくの昔に出来ていたのだ。



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ミュウの健気で一途なところが好きです。魔物故に、ルークの優しさに本能的に気づいているんだと思います。
ルークが病んでてもミュウに優しいのは、見捨てることなく慕ってくれるミュウへの感謝が心の片隅に残っているからです。

2011.12.09(Fri)

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